20代の持ち家 3割を超える

自宅戦略を考えるヒント

「あまり買い物をしない」「所有欲が少ない」――などと言われることが多い最近の若い世代ですが、「人生最大の買い物」とされる住宅については3世帯に1世帯がマイホームを保有するなど、持ち家を選択する20代が増加しています。

家計調査でみると、若い世代の住宅所有の割合は最近、着実に上昇しております。

世帯主の年齢が29歳以下の「二人以上世帯」の持ち家率は2020年で33%と最近の約20年間で最高の水準です。

2002年と比べると、約14ポイントの上昇で、特にここ4~5年は高水準となっています。

二人以上の世帯に限った数字とはいえ、およそ3世帯に1世帯が家を購入している計算になります。

自動車やブランド衣料・雑貨などの購入・所有にあまり関心を示さず、レンタルやシェアリングサービスを多用するイメージも強い最近の若者像からは少し意外な数値です。

ちなみに、他世代では30代の持ち家率も上昇している一方、40代以降はわずかな上昇か横ばいとなっており、若い世代の持ち家率上昇が目立ちます。

上昇の要因については、まず低金利。加えて若年層や女性の就労環境の改善も挙げられます。

日本銀行による大幅な金融緩和、とりわけ16年のマイナス金利導入以後は、住宅ローン金利も大幅に低下し、若い世代が好むインターネット銀行などでは年0.3~0.4%台という水準です。

13年以降に本格化したアベノミクスなどを受けて、雇用状況も昨年の新型コロナウイルス感染拡大まではおおむね安定していました。

現在の40代、つまり20年ほど前の29歳以下は1993年から始まった就職氷河期に直撃された世代でもあるだけに、持ち家率の変化の差が顕著に表れるのはある意味で当然です。

いつの時代も若い世代だから住宅所有に関心が薄いとは言えません。

経済環境が悪かった時期はそうした持ち家需要は顕在化しなかっただけと見ることもできます。

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