【首都圏マンションの価格高騰でも「マンション争奪戦」は止まらない。】

自宅戦略を考えるヒント

値ごろ感、お得感のある物件は、抽選や売り出しから3日程度で即時完売。

買い手候補が回遊魚のようにあふれ、「マンション争奪戦」といえる様相を呈しています。

いま不動産市場で何が起こっているのか? 

マンションを買いたいというタイミングは人それぞれ。「今年こそマンションを買いたい!」と思っている方は、ぜひとも参考にしていただきたいです。

価格は10年前の「1.46倍」に!

動産経済研究所の調査によれば、2021年度上半期(2021年4月~9月)首都圏の新築マンションの供給戸数は1万2809戸。平均価格は6702万円。

2020年度の上半期と比較して10.1%も上昇。とうとうバブル期の1990年、首都圏全体の平均価格6123万円をも超えた格好です。

さらに2021年8月には、東京23区の新築マンション平均価格が1億812万円というから驚くしかありません。

 どれくらい高騰しているかといえば、2011年の首都圏新築マンションの平均価格は4578万円なので、この10年で約1.46倍にもなっています。

ざっくりいうと、10年前に3000万円前後で買えた新築マンションが、いま買うなら4500万円ぐらいになっています。

 一時は、東京オリンピック後は、マンションは大暴落すると巷を賑わせていましたが……。

 土地価格の高騰、建築費の上昇、そしてコロナで一時的に売却活動がストップしたことによって、不動産市場をより難解にしてしまった印象です。

 ちなみに、コロナで1回目の緊急事態宣言が出たあたりでは新築マンションのモデルルームは休業、中古マンションにおいても内見不可という物件も相次ぎました。

 本来、マンションをはじめとした住宅が一年で最も動く時期は2月と3月。しかし、緊急事態宣言によって購入できなかった層が、本来住宅が動きにくい8月や秋にズレ込み、当初から秋に購入を予定していた層とかち合うなど、需給バランスがおかしくなりました。

さらにオリンピック後に購入しようと賃貸などで待機していた層も加わることに。

 そのうえコロナで残業やボーナスが減ったと自覚する層が、住宅ローン審査の際に必要書類とされる収入証明は、一般的に前年分の源泉徴収票(給与所得者の場合)なので、より良い条件で1円でも多く借りられる今のうちに買わないと、という心理が働いたのも大きいです。

本来無理な借り方をするとあとあと大変でおすすめはできないのですが……。

 この背景には、低金利はもとより消費税増税による住宅ローン控除の延長、すまい給付金などの支援も後押ししました。

これだけ需要があるにもかかわらず、新築マンションの供給は少ない状況が続いています。

 約15年前の2007年(平成19年)では22.7万戸もの新築マンションが供給されていましたが、この年をピークに減少に転じて2020年(令和3年)では10万戸。ここ10年の新築供給戸数の平均をみても約10.5万戸と半数以下です。

 つまり、新築マンションに限定したら2007年あたりと比べるとそもそも選択肢が半分しかない。その半分のなかで、立地や住宅ローンが借りられるかなどの個々の懐具合とあわせたら、より選択肢が少なくなるというわけです。

 これら総合的な理由、もっと簡単にいうと「需給バランス」によっていまの現象が起きています。そのため、価格がここまで高騰しているにもかかわらず、「〇〇マンション第一期〇〇戸即日完売!」「平均倍率〇倍」などの文字が踊るワケです。

 またここだけの話としてこっそり言うと、デベロッパーも安い価格で販売したくても商売である以上できず、「こんなに高いのに誰が買うんだろう」と恐る恐る販売していたりします。

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