【好立地に人気が集中する局地上昇が特徴】

自宅戦略を考えるヒント

日本の不動産市場は、東京都心部から動きます。

小さい「の」の字を描くように、まずは東京都の千代田・港・中央・新宿・渋谷区といった都心5区が動き、次に品川・目黒区などの城南地区から、世田谷・杉並区といった城西地区、そして豊島・荒川・北区などの城北地区、最後に江戸川区などの城東地区というように、不動産価格は左回りに波及していきます。

 このように最初に東京が動き、続いて神奈川、埼玉、千葉へと波及していく流れとなります。

この流れを全国的に見てみると、まず東京の不動産価格が動き、それが大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌に波及します。

 昨今では早ければ3カ月、遅くても半年ぐらいで不動産価格が全国に波及することが一般的となりました。

これは、不動産市場の金融商品化が大きな影響を与えています。

ただし、1990年前後のバブルやリーマンショック前のプチバブル期と比べると、その波及効果は限りなく限定的だともいえます。

この点を念頭に置き、あらためて都心3区(千代田・港・中央区)の中古マンション成約平米数に目を向けると、顕著なのが「日経平均株価」との連動です。

都心3区に新宿・渋谷区を加えた都心5区あたりまでの大きな傾向となっています。

「コンクリートから人へ」をスローガンに掲げ、株価や不動産価格を下げる政策を実施した民主党から、自民党に政権交代した2012年12月、期待感もあって株価や不動産価格は盛り上がり、さらに翌年の2013年4月以降、黒田バズーカ、アベノミクスが打ち出され、両方とも大きく上昇していきました。

 政権交代した2012年12月を100とすると、現在まで都心3区~5区あたりの成約平米単価はおおよそ2倍近く、東京平均でいうと1.7倍になっています。

一方で神奈川、埼玉、千葉では1.3倍~1.4倍程度にとどまっています。

以前として都心と首都圏でも大きな格差があるようです。

 1990年前後のバブルやリーマンショック前のプチバブル期は、東京が盛り上がると同時に、周辺までその波は確実に波及していましたが、

現状は、「都心・大都市部」「駅前・駅近」「大規模」のワードが示す好立地に人気が集まっています。

【不動産市場の「3極化」に拍車がかかる】

現状のような低金利時代が続くうちは、不動産市場において在庫が減り続けるか、現状維持、またはもう一段取引価格が上昇することも可能性としてはあり得ます。

 中古マンションに関しては、先述のように在庫が減り続けているため、このまま行くとそこまで取引の数は増えないでしょう。

数は横ばいか、むしろ減ったりしながら取引価格は維持または上昇していくと考えられます。

 新築マンションは長らく市場を縮めており、戸数を減らしつつ、より「都心・大都市部」「駅前・駅近」「大規模」に集中傾向が続きます。

したがって価格は下がることもなく、維持、もしくは上昇していくはずです。

 国内の不動産市場は三極化が進んでいます。

 三極化とは次の三つを指します。

(1)価格維持あるいは上昇する地域(市場の10~15%):局地的な価格上昇として先述した、都心・駅前・駅地下・大規模・といったワードに代表されるような、価値が上昇し続けているエリア。

(2)価格維持あるいは、なだらかに下落を続ける地域(市場の70%):都心から30~40kmほど離れているかつてのベッドタウン。これから人口が減少していき、徐々に価値が下がっていくエリアで、大多数の地域。

(3)限りなく無価値あるいはマイナスの地域(市場の15~20%):かつてのベッドタウンで人気のエリアでも、現在は人が減り、売れずに残るケースが増えている。ここに該当するエリアは、今後も下降をたどっていくと思われる地域。

しっかりした自宅戦略を持って価値の維持、上昇するような物件を手に入れましょう。

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